2018~2019season 東北CXシリーズ第3戦 Fukushima Airport Round 《Part 1》 C1 &CL1/2/3

「東北CX初開催の福島空港公園 積田連が移籍前最後のレースでC1初優勝、 CL1優勝は東北スペシャリスト須藤むつみ」

年末に原稿は仕上げたものの遅すぎ年内に編集部で処理できず かつ全カテゴリーをカバーしたボリューム感 センチメンタルに過ぎるスクリプトなどが影響しボツになったようだ^^;

ということで自分のブログにしてみましたが C1とCLだけでも結構なボリュームでした

f:id:abema145:20190119204138j:plain

東北CXシリーズ第3戦は例年開催していた郡山の大槻公園が改修工事のため使用不可となり、急遽代替え会場の選定作業が行われた。そして大会一か月前に地区担当のあぶくまサイクリングクラブの守備範囲でもある福島空港公園で開催とのアナウンスを受けた。

しかし会場は決まったものの開催実績が無いコース、レイアウト構想や現地詳細調査とコース設定のための準備作業、空港会社側との調整等が目白押しとなり 特に通常であれば数日で終わるコース作りための草刈りや藪払いに一か月にわたり毎週のようにスタッフが入りコースを拡げてきたようだ。

こうした苦労の末に出来上がった全長2.3kmのコース。 

空港敷地内の滑走路を見下ろす高台のホームフィールドと滑走路に向かう斜面とその下の平坦なエプロンの間にコースは切られていた。十分な広さの敷地の中に余裕のあるレイアウトが取られ見晴らしも良いので移動しての観戦もアップダウンがあるわりに楽そうだ。

f:id:abema145:20190119203645j:plain

今回福島空港会社から使用許可を得た会場は航空法により離着陸時の保安エリア として高さ2m以上の物体を設置できないため入り口には2mのスケールを持った検査員が立っていた。

f:id:abema145:20190119203949j:plain

計測テントが壊れた訳ではなく その2mの高さ制限を守るため低くセット された

しかし選手には担ぎ必至の直登スロープ、キャンバーやアップダウンのあるコーナー、トリッキーなドロップオフベンドの下り シケインの置かれた直線を往復するコース下部、そこからフィニッシュラインまでの登り基調の勾配などのオーガナイザー菅田氏のセットアップが趣向を凝らしておもてなししてくれるコースとなっていた。

f:id:abema145:20190119191219j:plain

大会会場は滑走路を挟んで空港ビルの向かい側 小さく選手達やコーステープが見える。

今回のコース設定は ほぼドライとなったコンディションもあり高速でかつパワー系踏み踏み型という印象で 選手たちの意見も概ねそのようなものだった。

試走後の臼杵レーシングのC1加藤 健悟選手に訊くと、「C1レベルであれば酷くトリッキーなエリアは無いが とにかく脚に来るコースなので早めに売り切れないよう注意して行きたいですね」と語った。

f:id:abema145:20190119193030j:plain

チームメートのサポートにつく 臼杵レーシング 加藤

朝の試走時間は ちょうど福島空港乗り入れ唯一の中型機 大阪行きのB737の離陸と重なり、選手も観客もしばし飛び上がる機体を見送ったのち、競技は開始された。

f:id:abema145:20190119193332j:plain

朝8時の大阪行きが離陸

C1+ CJ

16名+ジュニア1名がスタートボックスに並んだ。

f:id:abema145:20190119193635j:plain

C1 スタートボックス「今日は連(積田連)の日だよな〜」と 加藤 健悟(臼杵レーシング)がぼそっと呟く。

f:id:abema145:20190119193740j:plain

Team CHAINRINGとして最後のレースとなる 積田連


スタートはうまく飛び出した 加藤 健悟(臼杵レーシング)がホールショットを取り、それを来年からはSNEL CYCLOCROSS TEAMへの移籍が決まっている積田 連(Team CHAINRING)と 久保田 冬吾(東北学院大学自転車競技部CX班)が追う。

f:id:abema145:20190119193839j:plain

加藤 健悟(臼杵レーシング)がホールショットをとり 先行して行く

f:id:abema145:20190119193955j:plain

1周目のシケイン 積田は加藤から離れない

f:id:abema145:20190119194131j:plain

積田のバニーホップ 全周回飛び続けた

この三名はそのままパックを形成し早々と後続を引き離す。そして1周目の計測ラインに積田連を先頭に5分台で戻ってくると 短いとは言え あまり聞いたことのない10周のレースに決定された。

f:id:abema145:20190119194307j:plain

積田のチームメイト齋藤 拓真(TEAM CHAINRING)も毎回バニーホップを 決める

f:id:abema145:20190119192007j:plain

キャンバーを登るトップパック、前半は3名のドッグファイトが続く

f:id:abema145:20190119194837j:plain

キャンバーを下るトップパック、レース中盤になってもパックは維持された

4周目でトラブルのあった久保田が遅れると積田と加藤のマッチレースとなった。

f:id:abema145:20190119194600j:plain

Top Packから遅れつつもキャンバーを行く久保田 冬吾(東北学院大学自転車競技部 CX班)

乗車技術やコーナーテクニックでは定評のある二人はほぼ互角でポジションを入れ替えながら6分台前半のラップを刻む。シケインをバニーホップで抜ける積田に対しトラディショナルな降車で処理する加藤だが5周目わずかに遅れを取ると付き位置のタイトなランデブーが難しくなり 6周目以降徐々に離れ始める。

f:id:abema145:20190119195052j:plain

6周目 ペースの落ちた加藤の引き離しにはいる積田

気温は低かったが軽い脱水からか脚が攣り始めたためペースを維持出来なかったとレース後加藤は語った。

その後は誰にも絡まれることもなく積田は6分30秒の変わらぬペースで独走を続けフィニッシュラインを越えた。今季C1にカテゴライズして初めてのそしてTeam CHAINRING所属としては最後となるレースを優勝で終えた。

f:id:abema145:20190119195302j:plain

積田連 C1初優勝

遅れた加藤はそれでも6分50秒前後を維持し後続からポジションは守り2位。

久保田は加藤を追い上げるも届くには至らず3位となった。

f:id:abema145:20190119195156j:plain

伸びが無くなった終盤3位久保田が迫るが 再度プレッシャーを上げて2位を守 った加藤

f:id:abema145:20190119195526j:plain

急坂のキャンバー中段まで乗車で登る霜山 誠一(PAX PROJECT)5周目にDNFとなる

 

今大会でジュニア時代の積田同様 実戦トレーニングを兼ねた「東北方式」でC1との同時出走を認められた柳澤 創(Team CHAINRING)先シーズン東北CXプロジェクト最終戦 SUGOでC2に昇格すると現チームに加入しC2/ジュニアでも結果を出している。

先日の全日本シクロクロス選手権でもジュニア2位となった柳澤は 今回C1のトップパックに並ぶ6分30秒前後でラップを重ねながらジュニア既定の40分を7周回してレースを終えたが その時点でC1 3番手の久保田に次ぐ好位置だった。

f:id:abema145:20190119195847j:plain

C1トップに迫る勢いを見せる CJ柳澤 創(TeamCHAINRING)

f:id:abema145:20190119200014j:plain

CJ柳澤 創(TeamCHAINRING) すでに世界選の内定も得ていた

4位には今シーズンすでに9戦目と積極的にツアーを行う後藤 啓(LipattiJewelry)

f:id:abema145:20190119195430j:plain

4位に入った後藤 啓(Lipatti Jewelry

5位には先シーズンから1年でC1に昇格した中村龍吉(acu-power RACINGTEAM)が入った。

f:id:abema145:20190119195707j:plain

ロードやトラックでの代表経験が多い 中村 龍吉(acu-power RACINGTEAM) シリーズ前戦 猪苗代ラウンドでC2優勝 今回が初のC1参戦だが高い走力で C1でも 上位に迫る活躍を見せ 5位でゴール。

 

そして6位には レギュラーカテゴリーにあってシンプルでしかし奥の深いシングルスピートにこだわる「あぶくまサイクリングクラブ」のトップレーサーであり今シーズン飯山でクラブ員念願のC1昇格を決めたばかりの國井 豊が飛びこみ気を吐いた。

f:id:abema145:20190119200645j:plain

C1をシングルスピードで戦う國井 豊(abukumaサイクリングクラブ)6位 と健闘

C1優勝の積田連選手コメント 「自分を育ててくれた東北シリーズ また移籍前最後のレースで優勝できて良かったです。前半にパックで走行している時はかなりきつかったのですが、1人になってからは楽に進められました。今回は地元開催ということで多くのご声援が非常に励みになりました。次戦は年明けからですが残りのシーズンも全力で頑張りたいと思います。」



CL1

エントリー2名のCL1だが今回も猪苗代ラウンドに続きCL2+3との混走とすることで

華やかさを増すことができた。

コールアップに召喚されたのは CL1 2名、 CL2 3名、CL3  3名の 計8名、

そしてスタート。 先シーズンまでキッズクラスを走っていたCL3中学1年の菊地英(TEAM AIBE)は父 陽介から「力試しに狙ってみろ」と言われていたというホールショットを見事に決めて会場を沸かせた。

f:id:abema145:20190119201005j:plain

3クラス同時スタートの女子CL1、CL2+3(CL2 と3は賞典も分けず競い合う)CL3デビューシーズンの菊地英(TEAM AIBE)がCL2,CL 1の選手を抑えて見事なホールショット。

しかし「お父さんからどこまで走ればホールショットになるのか聞いてなかった」と言う菊地は言葉通りフルパワーで踏み続けた末 さすがにペースの維持ができなくなる。

f:id:abema145:20190119201205j:plain

ホールショットの後も懸命に回してホームエリアではしばらくトッ プを守る菊地と追う CL1須藤むつみ(Ready Go JAPAN)宮崎優花(サイクレスタ) CL2 鈴木成美(MilePost BMC Racing)等。

その状況を見たCL1須藤むつみ(Ready Go JAPAN)は 踏み足を強め一気に菊地をかわすと それ以降後続を断って独走状態に入った。

f:id:abema145:20190119201310j:plain

キャンバーエリアに向かう前にタイミングを見て菊池をかわし そ のまま独走態勢に入っていく須藤。

f:id:abema145:20190119201443j:plain

須藤を逃したパックの中でCL2+3のポディウム狙う走りを見せる菊池 一旦抜かれた前方のCL1宮崎を追うが後方からはCL2安達直子(潟鉄TRC)が迫る。

そして「だいたい主人が苦手なコースは私得意なんですよ、ここは自分に向いてるコース設定だと思う」と語る須藤は最初の周回を7分台前半で戻りCL1のレースは男子カテゴリーと同じ6周に決定、その須藤の第1ラップタイムに引っ張られたCL2+3の競技周回数も やはり男子の30分カテゴリーと同じ4周回となり競技時間もCL1並みの40分以上走ることになる選手も出るなど、お得で嬉しい費用対効果の高いレースが展開された。

f:id:abema145:20190119201614j:plain

独走状態でシケインを抜ける 須藤

f:id:abema145:20190119201721j:plain

完全な独走となっても見えない相手と競うように負荷をかけ続ける須藤

そして2周目以降も須藤は安定した7分台後半のラップを刻みながらグラベルTTを走っているかのような孤高のレースを続け46分後に一位のチェッカーを受けた。

f:id:abema145:20190119201810j:plain

6周回を終えた CL1優勝 須藤のフィニッシュ

f:id:abema145:20190119201932j:plain

宮崎はCL1 2位

2位は53分間耐えて走りきった宮崎優花(サイクレスタ)。

f:id:abema145:20190119202102j:plain

安達はCL2+3 1位となる。高低差や担ぎの多い今回のコースを見て 自分のMTBではなく急遽レンタルしたシクロクロスバイクで出走したと言う

f:id:abema145:20190119202241j:plain

シケインを行く高橋絵美はCL2+3 3位

f:id:abema145:20190119202349j:plain

都内から大挙して遠征してきたMilePost BMC Racing チーム員はレー ス中この人からの激しい声援にさらされ続けた。ある意味1番の大会盛り上げ係だったか もしれない CL2鈴木成美。自身の出走ではチーム員からの激しい逆襲を受けるがそれをまた切り返す。

f:id:abema145:20190119202544j:plain

2周目のキャンバーで 愛機KONA PRIVETE JAKEを担ぎ上げる菊地。  ハードなコースにレース後は「脚がもげそう」と嘆いていた。安達に抜かれたがそのまま 2位を守ってフィニッシュ。会場内の声援がいちばん大きかったかもしれない。

f:id:abema145:20190119202705j:plain

4周で完了したCL2+3のポディウムメンバー

またこの東北シリーズのCL3菊池英(TEAM AIBE)のように恵まれた環境でキッズカテゴリーから力をつけレギュラーカテゴリーにステップアップして活躍する若手選手達がC4のエントリーリストに何人も見られる。彼らのような少年少女が今シーズンも各地で増えてきているのはこの競技に関わる者には嬉しい状況だろう。

 

須藤むつみ選手コメント

「今回は初めて開催されるコースということで入念に準備しました。その上で開催前日には会場入りしコース試走しましたが、海外コースに見受けられる芝地の重い長めの直線が続くダイナミックでパワフルなコースで楽しかったです。 レース本番では前大会に引き続き女子のみL1とL2+L3同時スタートで気合いが入りました。

L2の菊地 英選手が勢い良くホールショットを取ったので、自分にもスロットルがかかり彼女の勢いを使って抜いた後は高いペースをキープしながら走り続けました。そして熱い声援にも助けられ全6周回を気持ち良くトップで走りきることが出来ました。 今シーズンは諸々見直し中で悩むレースも多いですが、毎回アットホームな東北シクロクロスで少しですが手ごたえを得つつあります。まだシーズンは続きますがレースやレース運営を通じてシクロクロスを盛り上げるお手伝いを続けていきます!」

 

f:id:abema145:20190119204639j:plain

f:id:abema145:20190119204709j:plain

f:id:abema145:20190119204737j:plain

物販やスポンサーブース 人気のカレーは早めに売り切れ その後焼きそばも無くなたようだった。


2018-12-23 東北CXシリーズ#3福島空港(東北 CX Project)主要結果
《 C1 》 16名
1位 積田 連(TeamCHAINRING)     1:03:57(2.3km x 10周回)  
2位 加藤 健悟(臼杵レーシング)              +0:45.6
3位 久保田 冬吾(東北学院大学自転車競技部 CX班)   +1:00.8
4位 後藤 啓(LipattiJewelry)      +2:34.4
5位 中村 龍吉 (acu-power RACINGTEAM) +4:01.4
6位 國井 豊(abukumaサイクリングクラブ)       +04:32.3

f:id:abema145:20190119204250j:plain



《 CJ 》 1名 ? C1と混走
1位 柳澤 創(TeamCHAINRING) 0:45:21(2.3km x 7周回)

f:id:abema145:20190119204320j:plain

《 CL1 》 2名
1位 須藤 むつみ(Ready Go JAPAN)   0:46:37 (2.3km x 6周回)
2位 宮崎 優花 (サイクレスタ)      +6:48.3

f:id:abema145:20190119204413j:plain

《 CL2+3 》6名 (CL1と混走)
1位 安達 直子(潟鉄TRC)  CL2 0:34:02 
2位   菊地 英 (Team AIBE) CL3    + 0:40.6
3位 高橋 絵美 CL2 +01:59.7
4位 鈴木 成美 (MilePost BMC Racing ) CL2 +05:2.4
5位 高橋 麻由美 (MilePost BMC Racing ) CL3     +08:18.7
6位 高橋 純子 CL3 +10:06.3

f:id:abema145:20190119204458j:plain

 Some photos borrowed from Takashi Saito、Thanks