Under the AQI hazard - 2017千森杯 丰台长辛店/2017 Qiansen Trophy Rd.1 Fengtai Baijin

フルテキストの記事掲載がタイミングが遅くボツになり 浮いたので、もったいないからここに。

タイトル的にはこんな感じ もしくは男女の優勝者名も加えるパターンでしょうか。

“ 千森杯第1ステージ:PM2.5の下 日本勢男子は竹之内が7位!女子は唐見11位を得る ” 

北京市西側郊外の豊台(Fentai)区は夏場はあまり酷くないという認識だったけど去年に比べひどく空気が悪く(台風に引かれてたのか?)AQI( Air Quality Index )は240(PM2.5が主)という状態で それがレースの明暗を分けたりもしたようでした。

(今回持って行った機材のうち直前に入手したNIKON D300ファームウェアが古すぎ絞りが全閉にしかならずに量産してしまった黒焦げ写真を増感しているので階調もなくクロマが出すぎた絵がかなりありますw)

しかし 書いてみるとボリューミーです いい写真も撮れてないのにwww

第2戦は スクリプトもできてないけど これ書いたから やらないとダメですねw

 

そして コメントいただいた選手の皆さん メディア掲載できなくてすみませんでした。

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遠征メンバー 選手とスタッフ

 

Prologue : 一般に馴染みのない大会なので簡単な解説も入れました

 

「昨年と同じ北京郊外の2か所の会場で開催されたアジア最高峰のシクロクロス大会 千森杯自転車競技施設の総合事業を手掛ける大連の体育競技施設建設企業グループ「千森集団」が主催 グループ会社の「北京千森体育文化有限公司」が実際の運営を行う今年で5回目の大会。 初年度はUCI C2レースを一回、二回目以降はC1の大会を2レースずつ行ってきている)今年は昨年とは逆に豊台区(Fengtai)で第一戦を迎えた。

 

日本遠征チームは8月31日に関空、羽田、成田からそれぞれ北京首都国際空港入り。関西からの便は夕方着だったが羽田、成田便はそれぞれ20時/21時に北京着だった。

遅い時間にも関わらず 到着ロビーにはボランティアの出迎えが待ち受け、先に着いた羽田組共々 会場に向かうシャトルバスまで案内してくれる。英語も話せる彼らは バスへの機材の積み込み時のこちらの要望をバスの運転手に伝えたりもする。

それを各国チームの到着スケジュールに合わせ行っている。

 

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空港から北京市西部の会場近くのホテルまでは60km バスで一時間ほどの距離だが

入国手続きや積込み含めホテル到着は真夜中になった。

式日程では翌9月1日午前中は恒例の近郊の観光ツアーが組まれていたが2日がレース当日ということもあり 到着日の遅い日本遠征チームは観光をキャンセルし全日を試走に充てることとした。

そのため 到着後割り当てられた部屋に機材と共に入るなり 各メカニックと選手の自転車組み立てと調整が明け方近くまで続いた。

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《試走》

夜のうちには気づかなかったが 朝になってみると、ホテル周囲の景色がかすんでいて

夏場の中国郊外にしては珍しく大気汚染が酷いことが伺えた。

EPAのサイトを観ると北京周辺のPM2.5の数値で240前後と汚染度5級 健康体でも屋外の長時間活動や屋外での激しい運動を控えるレベルだった。

 

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そんな中 ホテルのバフェで朝食を済ませた選手たちは自走で8kmほど離れた国立森林公園内のレース会場に向かい試走を行った。

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次第に晴れて気温も上がっていき湿度も高い、そして空気は変わらず霞んでいる。

 

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2年目のコースレイアウトは 基本的に去年と同じ。

スタート・フィニッシュのあるフラットな広場を中心に東西の丘を巡る高低差のあるコースで距離はUCI規定の最低値一周2.5km最大高低差22mという公称値。

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今年2017年のFengtaiコース図 (今年はデータ配布が無かったw)東の丘部分が延長代わりに広場のコースが短縮

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2016年のFengtaiコース図 2017年より東の丘部分が短い



コースは次第に足を削りそうな地味な登坂、その先のトリッキーな下りターン、泥、ダスティーでスリッピーな小砂利が浮く土 コンクリートアスファルトとサーフェースの切り替わりもめまぐるしい。

スタート後のダイナソアスロープ(恐竜の絵の垂れ幕付き)西の丘のフライオーバー、西から広場に一旦入った際にある双方向の2Wayフライオーバー、東の丘の階段などは

去年のままだが、昨年イェンス アダムス(ベルギー)が「平地部分は退屈だ」と言ったように不評だった広場に設けられた延々と続いた距離稼ぎのスイッチバックや平担部分は縮小され代わりに南の丘のハイキングルートを使った部分が延長され難易度を増していた。

コース長公称値は変わらず2.5km。空いた場所にはフードコートや選手用テントが設けられた。

 

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会場の一角 子供用遊技場やフードコートや物販ブースもあり 暑いさなか ありがたい事に密かにビールを売ってくれる屋台もあった。 この時期 盛りの地元名産ナツメ ザクロ(生絞り)ほおづき(食用完熟)や各種保存用肉料理も並び 気のいい地元の人たちが試食させてくれた。

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なつめはさっぱりしたリンゴの味と食感、ほおずきはなんとも言えないほんのりした香りと甘さ 
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肉料理コーナーは姐さんたちが色々試食させてくれる

 

 午後からコースインスペクション 規定に適合したコースであることの確認と修正 そしてコース内の異物や突起物の除去 安全確保を主眼に 選手が可能な限りレースに集中できるようUCI派遣のPCP(チーフコミッセール)スロヴァキアのミラノ ドヴォルザシクさんのチェックと指示が行われた。やはりコースは一部泥があるものの基本はドライでスリッピー このまま雨が無ければ明日も同じような状態でマシンコントロール能力の差が速度レンジの差になると思われた。

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特にこのコースが初めての選手にとって 試走はできればもう1日取りたいところだろうが 訪中スケジュールの都合でいたしかた無い。

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試走する日本選手

しかし 日本の一般的なレースのように当日のレースの合間や 前日でも限定された時間帯に制限されるのと違って 望めば丸一日でも走れるので 自由度は高い(コースは一部整備や設営が並行して進められているとしても)。

各自タイヤや空気圧 ポジションの微調整などセットアップを変えながら 感蝕の良いポイントを探っていく。

 

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昨年ここで優勝したチリン デル カルメン アルヴァラード(向かって右端)をエースに擁するオランダのクルールオプマート/BNS テクニクス サイクリングチーム

 

《9月2日レース当日》

エリート男女のレースは午後からなので 各選手は時程を考えながら朝食や昼食のタイミングをそれぞれ考え 補給食をどうするかも含め自分のレースのためのシーケンスに入って行く。

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ブッフェはあいかわず豪華

一足先に午前中行われるアマチュアのオープンレースを観るため朝から会場に入る。スタッフ用シャトルバスに乗り遅れ主催側メンバーのSUVに同乗させてもらい会場へ 純中国国産車メーカー 長城汽車製の「HAVAL h6」は中々良い車だった。

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会場ではすでに女子オープンレースが始まっていた。中国ではMTBの競技が盛んなのでそれと思われる選手と機材が UCIレースと同じコースを走る。

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男子のオープンレースには メカとしてやってきた 数名の欧米エリートチームのスタッフも賞典外参加して 中国でのレースを楽しんでいた。

 

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いつもの事だがコースは横断箇所が少なくコースわきの歩行導線も確保されてない上、保安要員の対応も杓子定規(特にはじめのうち)なのであまり自由に観戦 撮影ができるわけでは無い。メディアパスを出して貰っていてもその神通力は中々通じない。そして要所要所の撮影ポイントには 是もまた例年通り 一般観客より多いと思える人数の高級撮影機材を抱えた年配の男女カメラマンが集まっている。特にスタートやゴールシーンの撮影は人垣の隙間に潜り込むのに苦労する。

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参加選手は 今回主催者ができるだけ多くのUCIランキング100位以内の選手を集めたいとして段階的な選考を行った結果 男子は59名中 小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)を含む8名が100位以内 200位内では18名が選ばれ、女子は35名中100位以内が6名 200位以内では唐見美世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)含む15名の選手が選ばれた。

そして主催者が当初設定していた男女合わせて100名の招聘枠もほぼ満たされた。

 

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「今年はUCIランキング100位以内の選手を14名も招聘できた」と嬉しそうに語ってくれた毎年暖かいホスピタリティーで各国選手を迎えるオーガナイザーの宗彦興氏。

 

Women's Elite

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女子エリートレースの前に大会開会式 北京市市長や区長 体育局委員などのVIPとともに挨拶する大会プロモーター 千森グループの宗立山総経理(オーガナイザー宗彦興氏の父)

 

35名で行われたレース

 

昨年の豊台長辛店(Fengtai Changxindian) で優勝、続く延慶(Yanqing)では2位のポディウムに上がった オランダのチリン デル カルメン アルヴァラード(クルールオプマート/BNS テクニクス サイクリングチーム)は まだ19歳で先シーズンはU23の世界選7位 国内選手権4位等UCIランキングも43位と今年も期待できそうだ。他にも去年ポディウムに上がったアメリカ エミリー カチョレク(スクイッド)UCI 64位、キャサリン カミング(ハラペノ サイクリング/キング コグ)UCI 71位、 昨年はオーストラリア ナショナルチャンピオンジャージで北京を走ったレベッカ ルーク(Jブラッド アドベンチャーズUCI86位に加え 女子の参加者では今回UCIトップランカー34位となるベルギー国内選6位の ジョイス ヴァンデルベッケン (スティーブンス プロ サイクリング − ドーネン フォンデルモーレンCX チーム)等の選手が顔を並べるなか 日本勢は3名が挑む。

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ロードのオリンピアンでシクロクロスでは2001年 2002年のナショナルチャンピオン 現在国内ロードを競技復帰後圧倒的な強さで席巻しシクロクロスでも好成績を残す 唐見美世子弱虫ペダルサイクリングチーム)、そして 学生時代には豊岡英子 宮内佐季子等と並び三強を形成し就活ブランクの後 競技復帰してロードとシクロクロスで活躍する 福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle)、2000年シクロクロス全日本チャンピオンのベテラン 須藤むつみ(Ready Go JAPAN)が出場する。

なお当初予定していた世界戦派遣メンバーでもあった 武田和佳(Liv) 今井美穂(前橋新田小)の2名は残念ながら参加できなかった。

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そして昼過ぎのレース、朝方降った雨の効果無く相変わらずダスティーなサーフェース、30度近い気温と高い湿度、そしてAQI(大気汚染指数)もPM2.5で240を超え昨日と変わらない健康被害の出るレベル。前日のライダースミーティングでPCPからの補水の許可と方法の確認に基づきほとんどの選手がバイクにボトルを装備する。

スタートグリッド最前列にはUCIランキング順の ベルギー1名、オランダ2名、アメリカ3名、オーストラリア2名が並ぶ

 

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スタートで一歩先に出たのは ベルギーのジョイス ヴァンデルベッケン (スティーブンス プロ サイクリング − ドーネン フォンデルモーレンCX チーム)、それにアメリカのエミリー カチョレク(スクイッド)、セレナ ゴードン(ジャイアント ファクトリー オフロード チーム)、オーストラリアのレベッカ ロック、ナオミ ウィリアムズ(Jブラッド アドベンチャーズ)と今年のお台場にも来てくれた選手が続き。

オランダUCIランキング77位のジェラルディ〜ネ “ヘルテ” ホーカ(2WCバーニゲン −  MTBリヒト ヴァジェット)、チリン デル カルメン アルヴァラード等と先頭集団を形成する

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スタート直後の先頭パック。中央アルヴァラードは5番手でコースに入る

 

そして唐見美世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)はグリッド中程からの発進だが 不得意?というスタートに集中し更に前方を伺える好位置で東の丘を登る。

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福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle) 須藤むつみ(Ready Go JAPAN)は後方スタートということもあり沈んだ位置からの展開となる。

 

レースは1周目が終わり3名のトップパックがメイクした速度によって去年と同じ6周回と決定された。しかしコース設定で登りパートが増えたにもかかわらずペースは去年よりも早い 去年トップの平均速度より1km/h以上速い27.2km/h!

 

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トップはベルギーのヴァンデルベーケン、アメリカのカチョレク、ゴードンが続く

2週目に入ってオーバーペースと感じた二人のメルボルンっ子は後方に下がり、ここ豊台長辛店ステージのディフェンディングチャンピオンロッテルダムの陽気なアルヴァラードもコースから突然姿を消した(その後 彼女のリタイアDNFを知った)。

レース後彼女に話を聞くと「喉が痛み呼吸が苦しくて走り続けられずリタイアした」と大気汚染の影響を訴えていた。

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選択性が高く個人差も大きいと言われる大気汚染の症状だが何人かのデリケートな欧米選手は同様の症状を言っていた。

 

そしてその結果 2週目東の丘の降り口のフライオーバーでのトップ3はベルギーのヴァンデルベーケン、アメリカのカチョレク、ゴードンの3名。その後の周回もこのパックはローテーションしながら後方4位以下を引き離しながら終盤まで進んだ。

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終盤パノラマビジョン前を行く先頭パック 丘のエリアで先頭に立ったジョイス ヴァンデルベッケンとそれを追うセレナ ゴードン

最終周回の東の丘で何度目かのトップに回ったヴァンデルベーケンはそのまま仕掛け ゴードンがそれに反応したものの カチョレクは踏み遅れたか数秒離され西の丘の登りに入った。

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序盤 先頭パックのエミリー カチョレク



そしてフィニッシュラインに向けてホームストレートに入って来たのはヴァンデルベーケン 両手を上げ優勝。

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後続を離しフルパワーでフィニッシュに向かうジョイス ヴァンデルベッケン。後方を念のため確認すると 両手を上げてチェッカーを受けた。

2位ゴードン 3位カチョレク。

 

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ポディウムに上がる選手達と談笑する 大会プロモーター宗立山総経理 そして表彰式

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アメリカ女子のトップ3 ゴードン、カチョレク そして6位に入った サマンサ ルネルス

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記者会見のジョイス ヴァンデルベッケン。ベルギー国内選手権6位 国内ランキングも6位の彼女は ベルギーの国枠5人の今年の世界選手権には出られなかった さすがベルギー層が厚いと言うべきか。遠く東アジアまで来たが 大きい大会での優勝は久しぶりで非常に嬉しそうだった

上手くコースと噛み合わず踏み込み切れなかったという唐見はそれでもスタートポジションを守り11位とトップ10に迫る惜しいリザルトを残した。

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福本は24位 須藤は26位で トップ同一周回で完走。

 

《日本選手コメント》

唐見実世子弱虫ペダルサイクリングチーム)

「昨年の欧州での代表派遣レースでもまず課題はスタートだったが 今回は上手く行った。

しかしその後試走では走れて居たコーナーでのミスが重なり更に前に出ることが難しかった。

2戦目は試走で路面の状態も把握できたので しっかりとスピードに乗せたレースをしたい。」

 

福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle)

「今シーズン用の新しいバイクのセッティングを試しながら身体も合わせている最中と言うこともあって最初は思うようには走れなかった。ただその後も試乗を繰り返し竹之内選手に乗り方やセッティングのアドバイスも受けて修正していることから段々楽にパワーを出せるようになってきたので 次のレースも楽しんで走りたい。」

 

須藤むつみ(Ready Go JAPAN)

「前日の試走で落車したが、大した怪我もなくレースをスタートできた。しかしその後メカニカルトラブルが続き 都度ピットサービスに助けてもらえたが 順位的には沈んでしまった。

次戦では修正して冷静に走って 結果を出して行きたい。」

 

リザルト 出走35名 完走33名(80%ルール無し)

1位 ジョイス ヴァンデルベーケン (スティーブンス プロ サイクリング − ドーネン フォンデルモーレンCX チーム)

2位 セレナ ゴードン(ジャイアント ファクトリー オフロード チーム)

3位 エミリー カチョレク(スクイッド)

11位 唐見美世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)

24位 福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle)

26位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN)

 

Men's Elite

そして男子は59名

千森杯の顔 大会の運営にも初期から関わって来た オランダのタイス アルが今年は日程が重なったMTB世界選手権出場のため北京入りを見送った。

去年見事トップ10入りを果たした前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)も同じくMTB世界選手権入りのため 不参加となった。

また去年北京でポディウムに上がり今年は東京シクロクロスにも参戦し また3度目のオーストラリア国内チャンピオンとなったクリス ジョンジュワード(Jブラッド アドベンチャーズ)も欧州に長期家族旅行ということで エントリーを見送った。

 

しかし千森杯レギュラー化しつつあるUCIランキング17位の スイスのマルセル ヴィルトハーベル(スコット−スラム MTB レーシング)同85位 一部にファンの多いデンマーク ケニス ハンセン(ジャイアント- アソス CXチーム)に加え UCIランキング56位 ベルギーのヨルベン ヴァン ティッヘルト(ERA-シアカス)  UCIランキング67位タイス ヴァン アメロンヘン(デスティル-ZZPR.nl)などのヨーロッパで活躍する選手も顔を見せた。

 

そして日本からは 遠征キャプテンとして千森杯4回目の出場となるランキング83位の小坂光宇都宮ブリッツェン シクロクロス チーム)はじめ2年続けての中国遠征となる織田聖弱虫ペダルサイクリングチーム)と同じく2回目の鉄人小坂正則(スワコレーシングチーム)、先シーズンポイントが稼げずランキングは227位だが長年ベルギーを拠点にして欧州のレースシーンで活躍する初参戦の竹之内悠(TOYO FRAME)に 同じく初参加の重田兼吾(Team CUORE)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、中里仁(Speedvagen Family Racing)に加え 一年開けて2回目の参加となった向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)等の大部隊編成で挑む。

女子含め選手11名、スタッフを入れて16名の規模は 国としてもチームとしても今回最大で このためにオーガナイザーは異例の対応として日本語のできる社員を運営会社の千森体育公司から派遣 通訳スタッフとしてあてがってもくれた。

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日本語ボランティアの王伽俐(Wang Kari)さん

 

スタートボックスへはUCIランキング順でコールアップされる 小坂光は ヴィルトハーベルやティッヘルト,アメロンヘンと並んで 前列中央にポシションを取る。他の日本選手は3列目から後方にセットする。

 

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スタートは スイスのヴィルトハーベルの無酸素最大出力に 愛機アディクトが全力で応えた。ホールショットを決め、集団を数十メートル後方に残し一人 西の丘へ駆け上がっていく。

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スタート地点から離れ丘の入り口で構えていたため、後からオーストラリアのメカニックからi-Phoneの動画を観させてもらい知ったが、この時集団ではスタート後の直線から右コーナーを抜けたところで落車が発生し日本選手を含む一部の選手が一瞬足止めとなりその後の展開の明暗を分けた。

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斎藤朋寛もベルギーのティッヘルトと並んで6位の好位置でスタートを切った 

落車の影響を受けなかった斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)は集団先頭 ヨルベン ヴァン ティッヘルト(ERA-シアカス)と並ぶ好位置6番手で丘を登った。 

 

集団を飛び出したアメリカのマックス チャンス(テンスピード ヒーロー)、カナダのクレッグ リッチー(ガノー イーストン サイクリング)の2名が逃げるスイス人を追うが 長くは続かず遅れだし 代わりにベルギーのティッヘルトがトップを追走、2周目に4秒差に詰め4周目にはキャッチアップ、5周目に抜く。ヴィルトハーベルは自ら作った9周回のレースをここで失う。

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見事なホールショットから序盤独走に入ったヴィルトハーベル

 

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ヴィルトハーベル 次第にペースが落ち 徐々にティッヘルトにギャップを詰められて行く

ティッヘルトの追い上げも素晴らしいがヴィルトハーベルの速度が落ちていった印象もあった。翌日マルセル ヴィルトハーベルにペースの落ちた状況を聞いたら「喉をやられ呼吸が辛くなり速度を維持できなくなった」と話してくれた。

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ティッヘルト逆転しトップに


また10番手ほどでスタートしたアメリカ アンソニー クラーク(スクイッド)が大気汚染をものともしない好調さで この時3番手まで昇って来た。

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ただしトップ3は それぞれ間のギャップがあるためパックになることもなく最後までこの順位がキープされフィニッシュラインを超えた。

後方からは 2番手のマルセル ヴィルトハーベルの従兄弟 ミシャエル ヴィルトハーベル(スコット-スラム MTBレーシング)が序盤8位からポディウム手前の4位まで追い上げフィニッシュした。彼も従兄弟とは違い大気汚染耐性があるのか。

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そして日本勢、24番グリッドでスタート後の落車にも引っかかった竹之内悠(TOYO FRAME)が同じく落車後の追い上げを図る 欧州のレースで良く知るアメロンヘンをマークしながら3周目には10位 一旦その位置で落ち着くが再び終盤ブーストをかけ8周目で9位 最終9周回に入ったところで8位と好調さを見せながら 

先行した追走仲間のアメロンヘンに次ぐ7位でフィニッシュ

見事なトップ10入りを果たした。   

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前走アメロンヘン追う竹之内

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最終周回に8位で入る竹之内悠(TOYO FRAME)  更に一人抜いてフィニッシュ!           

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遠征キャプテン小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)も竹之内同様 スタート後の落車影響を受け大きく後退、しかしその後の展開に恵まれず19位でフィニッシュ。

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初戦でまだフィジカルやキネマティクスが上がっていない時期ということもあり小坂正則20位。

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20位前後でスタートした織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は2周目11位まであげその時点での日本選手トップの健闘を見せたが トラブルで中盤順位を落とし その後粘り強く走り続けたが挽回ならず日本勢としては小坂正則に次ぐ25位でレースを終えた。

 

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中里仁(Speedvagen Family Racing) 30位

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重田兼吾(Team CUORE)34位

 

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斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)38位 

 

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向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)47位 

 

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ゴールするティッヘルト

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男子はシャンパンファイト付き 

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リザルト 

出走59名 完走52名(80%ルール無し)

1位 ヨルベン ヴァン ティッヘルト(ERA-シアカス) 

2位 マルセル ヴィルトハーベル(スコット−スラム MTB レーシング)

3位 アンソニー クラーク(スクイッド)

7位 竹之内悠(TOYO FRAME)

19位 小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)

24位 小坂正則(スワコレーシングチーム)

25位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

30位 中里仁(Speedvagen Family Racing)

34位 重田兼吾(Team CUORE)

38位 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)

47位 向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)

 

【日本選手コメント】

小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)

「最前列からのスタートも上手く行けたが直後の落車に絡み30番手ほどに落としてしまった。その後多少無理をしながらも前に上がって行きオランダ人等との3名パックになることができ少し落ち着けたが、そこで落車 バイクのダメージもあって大きく遅れてしまった。それからはソロになってしまったこともありペースが上げられなかった。そういうことで結果は出せなかったが初戦にしては体も動いて感覚も戻ってきている。次戦のコースは相性も良いので全力で良い走りをして行きたい。

また チームとしても皆いい雰囲気で走れているので良いと思う。」

 

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

「スタート直後の落車は上手くかわせて追い上げてカバーできたが、4周目にパンク その後もチェーン落ちが続くなど 噛み合わないレースになってしまった。次戦は修正して 去年とれなかったUCIポイントも狙って行きたい。」

 

小坂正則(スワコレーシングチーム)

「スタート直後自分の左サイドで起きた落車もかわせてトップの見える良い位置で走ることができたものの2周目に行けると思い ややオーバースピードで行った逆バンクコーナーで落車してしまい一時集中が切れてしまったがそのあと持ち直すことができた。去年に比べ登りが増えたコースだが 登り主体の練習の成果で苦にならず行けた。次戦のコースは昨年も感触良く走れたコースなので上手くコンディションを持って行き 昨年以上の結果を残したい。」

 

竹之内悠( TOYO FRAME)

「どんなレースでも自分の思い通りには行かないものだが、今回もスタート直後の落車に塞がれて遅れてしまった。

その後 同じように絡んで遅れたオランダのタイス ファン アメロンヘン選手に付いて上げて行った。

落車などで遅れることはヨーロッパのレースでも良くあることだが 強い選手はそこからでも再び上がって行って トップ10に入ったりする。

このトラブルで自分も強い気持ちになれ前を追い上げて行けた。欧米の選手は時差や食事、文化の違いなどで 本来彼らが地元で発揮するような力は出せて居ないと思うが それを踏まえても自分ではまぁまぁの結果だった。

次戦のコースは ベルギーやオランダのアマチュアレースなどに良くある 流れるように走る林間コースで 第1戦以上に地形を活かした考えられたコースだと思う。砂などのハザードはないがこのコースでは慣れているヨーロッパの選手が速いと思う。次戦に向けても鬼頭メカや福本選手と気持ちを合わせて 良い結果を残して行きたい。」

 

重田兼吾(Team CUORE)

「(UCI)ポイント登録のトラブルがあり」最後尾スタートだったが スタート直後の落車をかわせたことで順位を上げられた。しかしその後 連続するコーナーの立ち上がりの踏み込みの遅れが蓄積して大きな差になるとか テクニカルなエリアでの処理やフィジカルの海外選手との差が出てしまった。次の2戦目も課題は同じだと思うが コーナーの進入処理や後方選手の警戒などに気をつけて 少しでも挽回できるよう頑張りたい。」

 

斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)

「最初の落車にも巻き込まれず 良い位置で走り出せたが 5周目のピット付近で 少し間の開いてしまった前の選手に詰めようとして焦り 落車/負傷してしまった。やはり準備不足 特にフィジカルを上げ切れてなかった。次戦コースはさらにフィジカルが重要なので パックに上手く乗ってつなげて行きたい。」

 

中里仁(Speedvagen Family Racing)

「1戦目のコース路面がスリッピーで踏み切れずリズムに乗ることができなかった。

2戦目はそれよりも得意と思えるコースなので 上手く流れに乗せて行きたい。」

 

向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)

「途中2回の落車に絡んでしまい その後もペースがかみ合わず残念な結果でした。

2戦目は得意なコースなので 切り替えて頑張りたい。」

 

日本遠征チーム

〈Men Elite〉

小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)※キャプテン

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

小坂正則(スワコレーシングチーム)

竹之内悠(TOYO FRAME)

重田兼吾(Team CUORE)

斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)

中里仁(Speedvagen Family Racing)

向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)

 

〈Women Elite〉

唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)

福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle)

須藤むつみ(Ready Go JAPAN)

 

〈Staff〉

佐藤成彦(弱虫ペダルサイクリングチーム)

池本秀紀(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)

鬼頭拓也(Toyo Frame)

高木政佳(Team CUORE)

諏訪孝浩(SNEL CYCLOCROSS TEAM)※総監督